昔、風俗で働いたことのある女の子が、そう言ってた。
たしか、「同じ店の子同士で仲良くなったりしないの?」みたいな、風俗経験のない人が放ったなんでもないような質問に、同じくらいなんでもないようなトーンで返してた言葉だったと思う。
「だって、全部嘘だもん」
わたしはその言葉が、妙に頭に残ってる。
そう、全部嘘なんだよな。名前も年も出身も、今の生活も未来への希望も、風俗嬢が話すことは全部、嘘。
さすがにチンコの皆様もそのへんのことはわかってて、「ももか(19歳)業界未経験!完全処女!ロリロリなルックスの超ハイレベルな現役大学生♪」にはちゃんと騙されたふりして遊んでくれるし、というかそれは風俗嬢の嘘じゃなくて店の嘘だからわたしたちには関係ない。処女の風俗嬢がいるなら、年収3000万のイケメン童貞だっているだろう。
そんな話じゃなくたって、我ら風俗嬢は嘘をつくのだ。同業相手にも、流れるように平然と。
なんで?って言われても、そんなことはわからない。
身バレが怖いとか現実逃避したいとか、理由は探せば山ほどあるけど、でも、どれも本質じゃない気がする。
「人は二度死ぬ」という言葉がある。
一度目は肉体が生命を終えたとき、そしてもう一度目は、みんなの心からその人物が忘れ去られたときだという。
わたしたちは風俗で働くことによって、家族や友達、周りの人には言えない隠し事を作っている。本当の自分を知る人はもういないし、風俗で働く自分を本当の自分だとも認めたくない。わたしたちの存在は、もう誰の心の中にもいない。ほとんどの風俗嬢は、嘘で塗り固められたゾンビ状態で生きているんじゃないかと思う。
このサイトは、そんな風俗嬢を助けようとか、風俗嬢の社会的地位を向上させたいとか、そういうたいそうなことを考えて作ったものじゃない。
ただ、少しでもわたしみたいな風俗嬢に届いたらいいなと思った。届いた先のことは考えてない。
とりあえず、今のところわたしは生きてるし、だからどうしたって話だけど、疲れたら別にDMくれたっていいし。気が向いたら返すしさ。
とか言って、共感を生んで、楽してアフィリエイトで儲けたかっただけだけど。
本当のところが知りたい?
言ってもいいけど意味あるかな、
だって、全部嘘だもん。